将来の人員確保への布石も兼ねた
CADと面板作成機の導入
株式会社広尚
お話を伺った
代表取締役副社長 濱口氏
株式会社広尚は1975年創業のトムソン加工を専門に行う会社。 医薬・製薬・化粧品をはじめとする高級パッケージなど、難易度の高い製品の抜き加工を得意とする高い技術力を持つ会社である。 同社は高精度な面板作成を全自動で行う フルオート面板作成機 NS-Crease Line 8ATC を導入した。 Z軸(深さ)制御とオートツールチェンジ機能により、溝・テーパー・切り取りツールを自動で持ち替えながらフルオート加工ができるソリューションを導入したきっかけと効果について、代表取締役副社長の濱口氏にお話を伺った。
業務体制の改善と
機械化によるノウハウ構築
NS-Crease Line 8ATC導入のきっかけは?
濱口氏
私は元々弊社の隣にある株式会社末広木型の社員でした。
創業のタイミングもほぼ同じであり、末広木型では抜木型を製造し、広尚がそれを使って打抜き加工を行うという親しい関係を長年続けてきました。
3年ほど前に広尚の先代社長が亡くなり、その後私が後継者という形で広尚に入社しました。
入社後から打抜き業務に深く関わるようになり、課題を感じたのが段取り時間の長さでした。
当時は平盤打抜機のムラ取りに面切りを行っていましたが、ムラを安定させるのに非常に時間が掛かっており、長い時だと職人二人掛かりでも半日を要していました。
前社時代からある程度調整が必要ということは薄々知ってはいましたが、ここまで職人の勘に頼った時間の掛かる作業だとは思いませんでした。
打抜きを専門で行う以上、ここを改善して業務の回転を早くしないと生き残っていけないと思い、導入検討を始めました。
株式会社広尚に設置されたNS-Crease Line 8ATC
NS-Crease Line 8ATCに決定した要因は?
濱口氏 末広木型時代からNSKさんのことはよく知っており、CAD/CAMシステムも20年前から導入しています。 その時からNS-Crease Line 8ATCのことも知っており、周りの同業会社様にも多数導入されている実績もあるため、弊社ではCADを介して動く機械を導入するのは初めてでしたが、迷うことなく抜木型製造にも長けた専用CADのArtiosCADと共に導入を決定しました。
NS-Crease Line 8ATCとArtiosCADは会社として初導入となるCAD/CAMシステム
すでにCAD/CAMの運用実績のある末広木型で抜木型と共に面板を作成した方が、0からスタートする広尚での導入より立ち上がりが早かったのではないか?
濱口氏
確かに周りの木型屋さんでも面板機を導入し、抜木型と面板をセットにして販売するサービスを行っている会社様があります。
木型図面の作図にCADを使っているのなら、プラスアルファの作業で面板も作るというのは、木型会社からの視点では合理的なサービスだと思います。
ただ打抜き加工会社からの視点で考えた時、これは私の父で末広木型の社長の考えでもあるのですが、『トムソンの段取りに関わる知識は、木型屋に頼るのではなくトムソン屋が持つべき技術ノウハウだ』という理念があったからです。
確かに面板を外注すれば楽ですが、当然外注費が掛かってきます。もし面板の破損や形状修正の必要が出た時には外注費+納期遅延による残業というデメリットがでます。
そしてCAD/CAMを使ったモノ作りを外注するということは、PCなどのデジタルデータやノウハウを社内に蓄積できないということです。
最後にここが一番大事な部分なのですが、デジタルを使った最新のモノ作り体制を作らないと、若い人材を確保することが困難になり、将来的には会社存続も危うくなるということです。
どこの会社様も同様かと思いますが、職人の高齢化やどうしても避けられないムシり作業の単純重労働など、若手人材を確保しやすいとは言えないこの業界で生き残っていくためには、若者がやりたいと思ってもらえる業務を社内で作っていくことが重要です。
そのためには職人の勘やコツだけに頼った業務の改善や残業削減、最新の機器を使った将来性を感じさせるモノ作り体制が必須です。
『面板ノウハウはトムソン屋で持つべき』と考えるのは、そうしないと会社として改善のきっかけを失ってしまう側面を持つからです。
この父の理念と私が現場を見た結果、多少ノウハウ構築に時間がかかったとしても打抜き加工会社である弊社に導入する方が、将来的なメリットがあるという判断です。
実際の使用感はどうか?
濱口氏
先ほども申したとおりCAD/CAMを使うことが初めてのため、ノウハウ構築中という部分も多いですが、効果は出ていると思います。
末広木型側でも同じArtiosCADを使っており、CADデータは変換無しで受け取れるので、非常に便利です。
パッケージ形状であれば面板専用ツールを使って簡単に面板を作図できる反面、大型・複雑な形状になるディスプレイの面板については時間を要する部分もありますが、慣れてくればそれも解消すると思います。
NS-Crease
Lineについてはデータをセットしてボタンを押すだけで後は全自動で行なってくれるため、導入直後から実践で使用できています。
高さの精度保持もツールセンサーがあるので、こちらではほぼ意識しなくても維持できています。
一部オペレーションの自動化により機械側での作業や操作習得までの時間は最小限に
現場での効率化について
濱口氏 こちらもまだ慣れていく最中ではありますが、現段階でもセット時間の短縮が図れており、約半分以下になった印象です。 手作業による品質のばらつきも無くなり、品質向上にも貢献しています。 弊社では1000~10000ショット帯の案件が多く、これまでであれば平盤打抜機1台あたりに捌ける案件数は2~3件が精一杯でしたが、今では5~6案件はこなせるようになっています。
今後の展望について
濱口氏 弊社は先代から打抜き加工一筋でやってきました。 他では嫌がるようなどんな難しい仕事に対しても断ることなくチャレンジし続けてきた結果、紙器パッケージだけではなく、ディスプレイ什器や合紙・クリアパッケージなども任せていただけるようになり、今ではディスプレイと箱の案件比率は6:4となっています。 NS-Crease Line 8ATCの導入により、短納期需要にも対応しやすい体制を作れています。 これをさらに加速し、平盤打抜機の増設も視野に入れた事業規模拡大を目指したいと思います。
株式会社広尚
株式会社広尚は1975年創業のトムソン加工を専門に行う会社。 医薬・製薬・化粧品などの高級パッケージをはじめ、店頭POPディスプレイや合紙、塩ビやクリアパッケージなど、特に難易度の高い製品の抜き加工を得意とする高い技術力を持つ会社である。
導入ソリューション
高精度な面板作成を全自動で行う
NS-Crease Line 8ATC
詳しくはこちら NS-Crease Line 8ATCはオートツールチェンジャー機能を搭載した面板作成システム。 8本のツールを搭載して、用途に合わせて自動でツールを持ち変えて面板を加工。 ツール交換が全自動で行われ、ツール交換の手間が全く必要なく作業時間・効率がアップする。
構造設計専用CADソフト
ArtiosCAD
詳しくはこちら 世界中で約20,000ユーザー、国内で2,000ユーザーを超す、世界シェアNo.1のパッケージ・段ボール設計に特化した構造設計CAD。 数千種類の定型を用いた迅速な作図に加え、3Dでの組み立てシミュレーションも可能。 面板作成など製造工程との連携機能も極めて強力である。