箱底に残るワインの量を削減
お客様の声をダイレクトに反映したパッケージ開発

メルシャン株式会社

キリンビール株式会社 共同開発事例


箱底に残るワインの量を削減
お客様の声をダイレクトに反映したパッケージ開発

メルシャン株式会社のバッグ・イン・ボックス入りワイン「フランジア」のパッケージ設計は、従来のボックスワインパッケージとは一線を画している。

注ぎ口を箱の中から引き出しセットすると、蛇口をひねって水をだすように注ぎ口からワインが流れ出す。
ワインオープナーは不要、 手だけで簡単に開け閉めが可能な他、外箱を500ml缶と同じ高さに設計し冷蔵庫への収納力を高めるなど様々な工夫がパッケージには施されている。

箱の中には、ワインの入った密封性の高い特製バッグが収納されている。ワインを空気に触れにくくし、 開けたての"フレッシュ&フルーティ"なおいしさを、約一ヶ月(※1)も長持ちさせる。この特性バックにタップが取り付けられており、 外装箱から中のタップを引き出す形で使用する。


従来のパッケージにも
様々な工夫が施されていました

飲みたい時にグラス一杯から気軽にワインを楽しめる工夫だ。

これまでもお客様の使いやすさを考え設計されたフランジアのパッケージであったが”フレッシュ&フルーティ” という味わいのコンセプト強化と、更にお客様の使いやすさを考えた容器形態を実現するため2009年4月よりパッケージのリニューアルが実施された。

パッケージが語るおもてなしの心

リニューアルされた「フランジア」パッケージは、メルシャン株式会社とキリンビール株式会社のパッケージング研究所との共同開発により誕生した。

キリンビール株式会社のパッケージング研究所といえばコーナーカットカートンを開発したことで有名な部門である。 ビールを入れる段ボールカートンの四隅を切り落とし広告面を増やしながら、運びやすさや省資源、 リスク低減を適えたコーナーカートンの開発を始め、その他高機能なパッケージを生み出し様々な賞に輝いている。

このパッケージング研究所に導入されているのが、弊社の包装設計専用CADソフトArtiosCAD [アルティオスキャド]とサンプルカッティングマシンKongsberg[コングスバーグ]、 物流コスト削減を実現する積載シュミレーションソフトCAPEPACK[ケープパック]。
今回のメルシャン社「フランジア」の新パッケージ開発にもこれらのソリューションが使用された。


新パッケージは、お客様の使いやすさを一番に重視し設計に取り組んだという。
長期間楽しめるワインであるからこそ、 「製品を購入してから飲み終わるまで」逐次状況に合わせて快適にフランジアと付き合っていくことのできるように、 パッケージには多くのもてなしの配慮がちりばめられた。

注ぎ口を取り付ける面にはコーナーカットが設けられ、従来よりも下に、斜めに、注ぎ口が取出せるようになった。 水平にしか取り出せなかった以前に比べ、約50%の注ぎ残しを無くした。

更にワインが少なくなってもボックスから特性バックを取出すことなく、 最後までフレッシュ&フルーティなフランジアを楽しんでもらえるようにと、新しく「傾け機能」が追加された。

「傾け機能は、一見シンプルな構造に見えますが、テーブル等に確実にフィットすること、シートの使用面積を増やすことなく 最大の傾け高さにすること、折り曲げた際の荷重強度を保障することなど色々考慮されています。
これらについてArtiosCADの3D機能を活用することで、開発を迅速化することができました。」とキリンビール株式会社パッケージング研究所、ご担当者様は話す。

お客様の状況に合わせ変化するよう配慮されたパッケージは、顧客満足度の向上に繋がっていく。この傾け機能の搭載によって、 注ぎ残しはさらに従来の94%もカットすることに成功した。

開発期間・コスト削減と使いやすさの追求

[手前]従来[奥]新パッケージ
コーナーカットにより、下向きになった注ぎ口と
傾き機能による効果が見て取れる。
開発では女性を対象とした官能評価が重ねられ、ワインタップの取出しやすさ他、既存機能についても改めてお客様への快適性を追求することとなった。

パッケージをリニューアルすると追加の投資が必要となることがあるが、パッケージング研究所ではこの点にも配慮した設計開発を実施。 「コストアップを全く発生させず、紙器設計のみで実現する」ことを目標とした。

メルシャン社が保有する充填設備への新規投資が発生しない形状設計とするため、ArtiosCADの3D機能が活用された。 画面上で様々なシミュレーションを行い、サンプルを作る前の段階で、ある程度の適応設計を見極め、形状を絞り込んでゆく。

生産時の製函手順のシミュレーション
※画面はイメージです。

従来、いくつものサンプルを実際の充填設備で検証しなければならなかったが、画面上で検証できるようになったのだ。 この3Dの機能活用により、開発期間の短縮化を実現した。

厳選された形状案は、パッケージング研究所内のサンプルカッター(Kongsberg)ですぐに試作サンプルを作り、手元で確認することができる。

「充填設備への適応性を検証するため、試作サンプルを自社でカットし製作することで、従来コンバーター用に発注していた、 抜木型やテスト資材の製作費用と設計開発費を大幅にコストダウンすることもできました。

今回の形状が採用に至った理由として、パッケージング研究所で作成した試作サンプルを用い、実際の充填設備への検証が迅速におこなわれ、 追加の設備投資が発生しないことを確認できたのも重要なポイントとなりました。」とご担当者様は説明する。

[手前]従来[奥]新パッケージ
陳列時もイメージを損なわないデザインへと
一新されている。

お客様の声にメーカー自らが応え、機能改善を「素早く低コスト」で実施することはメーカーとお客様双方にとって大きなメリットとなる。

パッケージのサンプル作成・検証・改善が素早くおこなえるパッケージング研究所のミニマムな開発フローは、 お客様の使いやすさにこだわったパッケージ機能を徹底して追及しながらも、開発期間の短縮とコスト削減を実現した。

ブランドを伝えるパッケージ

こうして開発されたフランジアの新パッケージは、前述した通り、従来よりも注ぎ残しを94%削減し、随所に使いやすさを向上させる 様々な配慮が盛り込まれた。

ArtiosCAD+Kongsbergで開発された
様々なパッケージ

今後も、お客様にフランジアを快適に、おいしく楽しんでいただけるよう、商品開発は進められていく。 メーカー自らがパッケージを開発することで、お客様の声をダイレクトに反映しながら、ブランド独自のオリジナリティのあるものを開発することができる。

大きなコストをかけなくとも、使いやすさと顧客満足度が向上できる事を、メルシャン株式会社とキリンビール株式会社の取り組みは示している。

メルシャン株式会社 パッケージング技術研究所

https://www.kirin.co.jp/products/wine/franzia/

メルシャン株式会社は東京都中野区中野四丁目に本社を置く、酒類の製造販売をおこなう企業である。キリングループの会社。

導入ソリューション

サンプルカッター
Kongsberg XLシリーズ

詳しくはこちら段ボールからフォーム材、スチレンボード・カーペット材など、あらゆる資材の加工が可能なマルチカッティングマシン。

総合設計CADシステム
Artios CAD

詳しくはこちら世界中で使用されるグローバルスタンダートCAD。図面作成だけでなく、作成物の情報管理機能(データベース)を持ち合せるため、リピートオーダーや作成情報をCADで管理できる。過去の作成物を無駄にせず資産として運用する要のソフト。

積載・配送シミュレーションソフト
CAPE PACK

詳しくはこちら最も効率的な積載方法やパレット積みを算出し、運送コストの削減を実現するソフトウェア

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